たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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TOKKO -特攻- (試写)

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 あの戦争の検証や、特攻隊員の悲劇や実態に迫ったものは数多く作られてきただろう。
 だがそれでもこの映画が作られた意義があるのは、監督が日系アメリカ人であるということだ。

 アメリカで「TOKKO」「KAMIKAZE」という言葉は、盲的狂信者というような意味で捉えられ、今ではテロリストたちと同じような感覚で認識されているのだという。
 監督であるリサ・モリモトも、そんなアメリカ人のひとりであった。

 だが彼女は自らの叔父が特攻隊員であったことを知る。
 あんなに大らかで笑顔が優しかった叔父が、狂信的テロリストだったのだろうか?
 そんな問いから映画は出発する。

 これはアメリカ人と日本人のハーフであり、幼い頃から大半をアメリカで過ごし、日本の文化や特攻隊などには全くと言っていいほど知識がない監督が、彼女なりのアプローチでその実態に少しづつ迫っていくドキュメンタリーだ。

 つまりその紐解きは、日本人にはいささか初歩的かもしれない。わざわざ今さら特攻隊の基本的なことを語られても、と思う人も多かっただろう。
 だが中盤から、この映画だからこそ、この監督だからこそ出来たというような検証の仕方が徐々に観られるようになってくる。

 例えば、特攻隊員の生き残りである男性のインタビュー。
 彼はこう述べる。

「原爆の被害者には申し訳ないけれど、私の特攻命令が出る前に原爆が落ちてよかった。おかげで戦争が終わり、私は死なずに済んだ」
「私だって人間だ。国のために死ぬのが栄誉だとは分かっていても、人の死をそんなに軽々しく考えることなんてできなかった」
「昭和天皇には間違いなく戦争責任がある。彼がもっと早く敗戦の決断をしていれば僕の仲間の多くが救われた。原爆だって落ちずに済んだ」

 こんな意見当然じゃないか、と思う人や、なんと不謹慎な!! と憤慨する人もいるだろうが、彼のこのコメントは実に率直であり、しかしながら今までの映画では(少なくとも多くの似たような映画では)観ることが出来なかった、彼らの素直な心のうちなのだろう。 
 なぜ彼らがこの映画では素直な心情を吐露することが出来たのかという考証は置いておいて、あの戦争や特攻隊員についてほぼ無知である監督のストレートな質問の仕方は、恐らく日本人では出来ないことだっただろうと思う。

 さらに戦争当時の貴重なカラー映像や、特攻を受けた戦艦の乗組員だった元米兵、CGでの再現など、今まで観ることができなかったような戦争考証が行なわれる。

 戦後度重ねて考証を続けきたた日本人にしてみれば「なにを今さら」という感は否めないだろうが、それほど詳しくはない若者には大いに響く映画であろうと感じた。

 戦地に立っていた僕らと同年代の少年らがなにを思っていたか。
 なにを思い死ぬために空へ飛び立ったのか。

 今一度それらを考える、よいきっかけとなる映画だった。
  

(2007年/アメリカ・日本/リサ・モリモト監督)

| 映画 ☆☆☆ | 03:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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吉祥天女 (試写)

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「"天女の羽衣"に触れた女は幸せになるが、触れた男には祟りがある」

"17歳とは思えぬ美貌と淫艶な雰囲気を合わせ持ち、男も女も魅了する"女性、小夜子を演じているのが、鈴木杏だ。
 あどけなくて勝気で素直になれない中学生…というイメージがいまだに定着している彼女だが、今作はいままでとはかなり打って変わった女性を演じている。
 
 それが作品的にも彼女的にも成功だったのかは微妙なところだが、今までの幼いイメージを(ある程度は)打破し、大人の色っぽい女の魅力は出ていたと思う。

 原作が少女コミックだから当然かもしれないが、全体を通してどこか少女マンガの匂いがする。具体的には言えないのだけれど、小夜子の立ち振る舞いや、相手役となる涼や暁の言動なども、"少女が憧れる大人の女""少女が憧れる男"というところから脱却できていない気がした。
 そして常にぼんやりと霧がかかったような、まるで子供の頃に思い描いた物語を観ているような感覚があった。展開にメリハリがないことなども含め。
 ただターゲットが同じように少女マンガを読むような世代なのだろうから、彼女達にしてみたら酷く共鳴するような物語なのかもしれないけれど。

 いずれにせよ、「悲劇」だの「哀愛」だのって言葉には免疫ができてしまって「あぁそう」くらいにしか思えなくなったすれた大人は、鈴木杏と本仮屋ユイカのセーラー服姿をじっくり楽しめばいいんだと思う。


(2007年/日本/及川中監督)

| 映画 ☆☆☆ | 03:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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14歳 (ユーロスペース)

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 ――窒息しそうな毎日を
    変える方法がある―― 


 例えば「リリィ・シュシュのすべて」が、14歳の少年少女達の痛切な内面を、その少年少女たちの視点から描いた傑作だとするならば、この映画は、14歳という大人から観ると謎に満ちた年代の子供たちを、大人の視線から正直に描いた作品なのだろう。
 そこに安っぽい問題提起や、答えはない。
 理解させようという恣意も見当たらない。
 リアリティーがあるかないかと問われれば、僕はないと思った。芝居が達者でないことも一員だったかもしれないし、そのせいで香川照之ひとりの存在感だけが妙に浮いてしまっていたせいかもしれない。
 ただ、これが現実だ、と言われれば、そうなのかもしれないと納得する。
 誰ひとり、14歳を救えない。
 誰ひとり、14歳を理解できない。
 全ての人に、14歳があったのに。


「ある朝スウプは」で衝撃的なデビューを飾った脚本:高橋泉と監督:廣末哲万のユニット「群青いろ」の劇場デビュー作。
 各国映画祭で賞賛を浴び、日本が誇る新しい才能として期待されているらしい。是枝裕和や市川準や宮台真司など、個人的に好きな方々が多数コメントを寄せていて、さらにテーマも興味深かったので観てきたが、正直なところ、上映中は睡魔との格闘。全くもって感動も関心も感慨もなかった。ほんとうに。

 特に気になったのが、やけに間延びしたワンカット。あそこまで強調するのだろうからそこには当然目的があったはずで、それは例えば学校という閉鎖された場の空気感を出したかったとか、青春という怠惰性を感じさせたかったとか色々だろうが、僕はあの間をどう感じればいいのか全く持って理解不能だった。だがそれこそが作者の意図だったと取れないこともない。

 謎なのである。
 どんなテーマで映画を作ったかは知らないが、僕はそれをいちばん感じた。
 劇中、26歳になった大人が14歳の中学生との付き合いに苦難するなか、自分が14歳だった頃を思い出そうとしても思いだせない、というくだりが繰り返し演じられる。 
 なぜ思い出せないのか。
  
 大人の視線から描かれる14歳は狂気じみて、異常性があふれ出たモンスターのようだ。黙り込んだ次の瞬間にはナイフが飛びだす。
 大人は子供を拒絶する。上から囲いを被せ、遠くへ突き離す。
 自らも同じ年の頃、そうされることをいちばん嫌っていたことをとうに忘れて。

 この映画がなにを描こうとしていたのか、それは僕には全く理解出来なかった。
 だが鑑賞後、とても突き離された感覚があった。
 どうせ14歳を理解することなんて出来ないんだろ? と言われているような。
 ゆっくりと時間をとって考えると、劇中で苦悩していたのは大人たちだ。14歳との接し方に苦悩する彼らは、痛いほど生々しい。
 だが当の少年少女達には、一切の迷いがない。 
 それは時に狂気に及ぶが、ある種の純粋さであるということが出来るのかもしれない。
 両者は全くコミュニケーションを成立させることが出来ない。
 全く。
 この両者の対象性が鮮やかに残る。

 結局のところ(繰り返しになるが)僕はこの映画が、しつこく迫るように表現しようとしていたなにかを理解することができなかった。
 ただそれは、僕はまだ14歳に近いからなのかもしれない、とも思った(年齢的には26歳のほうが遥かに近いのだけれど)。大人側から子供達を眺めるよりも、子供側から大人を見上げているほうが、まだ自分の感覚には近い気がする。
 だがしかし、映画のキャッチとなっている「窒息しそうな毎日を変える方法」とはなんなのだろうか。
 というか、そもそもそんなものあるんだろうか。

 いずれにせよ、あの異常な雰囲気、狂気じみた表情。
 あれが学校という地獄を毎日行きぬく少年達の、真実の姿なのかもしれない。


「我々は学校的な共同身体性を、それがもたらす吐き気ゆえに、体験加工せずには思い出せないのだ。思い出せない大人が─主人公らが─おためごかしを言い、言葉のナイフを突き刺す。だから我々が本物のナイフで指されるのは仕方ないと映画は断言する。
 『14歳』を観た後に、心の教育だとか、イジメの根絶だとか、どんな理由があっても尊厳損壊は許されない云々といった言説に触れてみてほしい。嗤いが込み上げてくるだろう」――宮台真司氏
(HP)

「私は、彼らと向き合おうとした時には、0か100しかないと思うの。全てを賭けて向き合うか、全く向き合わないか」――劇中台詞より


(2007年/日本/廣末哲万監督)

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