たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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ジェリー (DVD)

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 異質な映画だ。あまりにも異質である。
 
 ガス・ヴァン・サント監督が「エレファント」の前に手がけた作品。それ故に特異な空気を持つエレファントの原点とも呼ばれる作品。主演はマッド・デイモンとケイシー・アフレック。この二人は脚本にも携わっており、マッド・デイモンとガス・ヴァン・サント監督のタッグは「グッドウィル・ハンティング」以来。ちなみにケイシー・アフレックは「グッドウィル〜」でマッドと脚本を共同執筆してオスカー脚本賞を受賞したベン・アフレックの弟さん。

 この映画には登場人物が二人しかいない。マッド・デイモン演じるジェリーと、ケイシー・アフレック演じるジェリー。別に同一人物を演じているわけではない。二人がお互いにそう呼び合っているだけであり、本当の名前は分からない。二人は砂漠に迷い込んでしまうが、そもそもなにをしようとしていたのかも分からない。なにかミスをしたり、下らないことがあると「ジェリー」という造語を使う。
「あの時引き返したのがそもそものジェリーのきっかけだろ」
「違うよ。お前がジェリったんじゃないか」

 説明というものの一切が削り落とされているのだ。説明描写だけではない。音楽も、台詞も、極端に少ない。それらを映画足り得るギリギリまで削った骨のような映画だ。一応サスペンスとジャンル分けされているようだが、それとて苦し紛れに違いない。この映画にジャンルなんてつけようがない。そもそもストーリーというもの自体が存在しないに等しい。
 台詞なしの長いワンカットを多用し、二人が延々砂漠を歩く姿をひたすら100分見せられる。それは決して楽しいものじゃない。半分うとうとしながら観るのが正しい鑑賞方法のようにさえ思える。
 だがつまらない映画を鑑賞した後に感じるような腹立たしさは微塵も沸いてこない。
 あらゆる意味で究極的な映画だ。

 説明描写を含めた映画的無駄(と言っていいのかどうか分からないけど)を徹底的に排除した方法は確かに「エレファント」に通ずる。美しい風景や稀に使用される音楽のタイミングなど、それらは内容どうのに関わらず、心を掴む要素がある。

 監督がこの映画でなにを狙ったのか、なにを試したかったのかはわからないが、突き詰めようとしているその姿勢は潔く、清々しさを覚えた。

 だが、友人に進められる映画でないことは間違いない。


 余談ですが、マッド・デイモンは「ボーン・なんとか」や「オーシャンズなんとか」など大作にも呼ばれる超売れっ子さんになったのに、未だにこんな映画に参加してるんですね。その心意気は素晴らしいと思います。
 それに比べ「グッドウィル・ハンティング」をきっかけに共に脚光を浴びたベン・アフレックと来たら……。ジェリっちゃいましたね、完全に。


(2002年/アメリカ/ガス・ヴァン・サント監督)

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