たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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仕立て屋の恋 (DVD)

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【シャツの皺を嫌う。
 靴の汚れを嫌う。
 糊の利いた黒のスーツだけを纏い、
 夏でも上着を脱がない。
 煩わしい人間関係を拒み、
 昼間は黙々と服を仕立て、
 夜中覗くのは決まって同じ部屋。
 近づこうとする女を拒む術はなく、
 指で触れて恍惚とする。
 他者に罵られようと、
 暴力で脅されようと揺るがないものは、
 例え女に欺かれようと揺るがない。
 最後のその瞬間まで、
 それは揺るがない】

 

 陰鬱で、屈折して、だが確かに一人の女を愛した男の孤独な物語。
 彼女の服の匂いを嗅ぎ、毎夜部屋を覗く彼は確かにまともではない。彼女が体を許してそこにいても、彼は服の中に手を入れるだけで抱くことはしない。自己完結的で、エゴイスティックで、だがそれでも彼の愛が真実のものであることに変わりはない。
 彼女の恋人が彼女を利用したように、彼女もまた彼を利用する。
 そして彼はそれを受け入れる。
 愛する人のためには全てを捧げられても、他人には恐ろしく冷酷になれるのが人間だ。

【「僕は君を憎んではいないよ。ただ、死ぬほど悲しいだけだ」】

 切ない。切なくて切なくて切ない。でも切ない。痛いほどに切ない。
 やり場のない男の鬱々とした感情を、この一言で強烈な程鮮やかに、だがあくまでも静かに浮き彫りにした。濃密で暗ーい80分。残るのはただ切なさ。恐ろしい映画だ。
  

| 映画 ☆☆☆☆ | 00:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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