
前作
ボウリング・フォー・コロンバインでドキュメンタリーに革命を起こしたマイケル・ムーア監督作品。この作品はドキュメンタリーとしてはカンヌ映画祭で46年ぶりのパルムドールを受賞。様々な圧力等により公開が危ぶまれた時期もあったものの、いざ公開されてみるとまたしてもドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを遂げた。
主演:ジョージ・W・ブッシュ そんな看板を引っさげているように、この映画の目的は"ブッシュの再選の阻止"。ブッシュとアメリカ政府に関する知られざる事実を多数取り上げ、彼らの本質を暴こうとする。
この映画で取り上げられる話は、例えば政治にもともと興味がある人間や専門家からすれば周知の事実を面白おかしく描いているに過ぎないかもしれない。だが、初めてこれらの話を聞いた人間のショックは計り知れないほど大きいだろう。そしてそれらをただ淡々と並べるだけでなく、あくまでもエンターテインメントとしてテンポ良く見せてくれる。誰でも見ることが出来るような軽いタッチの映画の中に、とてつもなく重いテーマを含ませていることが監督の力量だろう。それは監督の狙いが"ブッシュの再選の阻止"であり、即ち"多くの人間に見て欲しい"ということであるから、筋は通っている。
誰でも見れて、笑えて、それでいてブッシュに危機感を覚える。監督が狙った通りの映画だ。
前作のような監督自らの突撃取材はなく、全編通してひたすらにブッシュの無知と戦争の悲惨さを訴えかける。
だがこの映画は、前作で銃問題を多義的に分析したような傾向ではなく、あくまでも"ブッシュ=悪の根源"として展開している。その真偽がどうのではなく、ただ単純にその構図そのものに若干の不快感があった。
もちろんイラク戦争においてのブッシュの責任は免れないだろう。彼のしたことは間違った判断であり、その結果多くの罪のない命が失われることになったのは事実だ。そもそも、彼が大統領に適した器を持った人間かどうかも(この映画を見る限り)怪しいところだ。しかし、その責任の全てが彼にあるかと言えば、必ずしもそうとは言えないんじゃないだろうか。
とまぁ、映画を見ながら色々と考えたが、それこそがきっと監督の狙ったことなんだろうな、と感じた。
性別年齢問わず、多くの人に見てもらいたい。政治について考えてもらいたい。それは前作と同じく俺が思ったこと。
日本がへぇこらしてるのは、こんな国なんだよ。
ちなみに、この映画はラジー賞(年間ワースト作品に贈られる賞)を四部門も受賞している。ブッシュが主演男優賞。ラムズフェルト国防長官が助演男優賞。ライス大統領補佐官が助演女優賞。ブッシュ&ライスでカップル賞。こんなジョークがジョークで済むんだから、やっぱりアメリカって凄いな(´Д`)
(2004年/アメリカ/マイケル・ムーア監督)