たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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ニューシネマ・パラダイス (シネスイッチ銀座)

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 これぞ映画。
 89年のカンヌでグランプリ、90年のオスカー外国語映画賞受賞。でもこの映画は受賞暦などでは計れない。89年のカンヌでこの映画を抑えてパルムドールを獲得したソダーバーグの「セックスと嘘とビデオテープ」は今でも秀作と呼ばれるが、大型劇場での再上映などはされない。この映画はそれだけ多くの人の心にしっかりと焼きつき、確かな感動を与え続けている。だからこそ16年経ってからデジタル・リマスターヴァージョンとしての再上映が成された。
 映画の素晴らしさをこんなに実感した映画は初めてだった。


【辛いことがあっても、映画を見れば幸せになれた。
 映画館にいる時間は、他のなによりも掛け替えのないものだった。

 少年は映画と映写技師のアルフレードから世界を学んだ。いつだって映画は華やかで、アルフレードは優しかった。毎日楽しいことばかりではなかったが、それでも少年は映画の魅力とアルフレードの言葉に心躍らされた。
 
 技術の進歩と共に成長した少年はやがて大人になり、本当の世界と向かい合う時が来た。彼はすでに多くのものを見、学んだつもりでいた。
「本当の人生は映画のようにうまくはいかないんだ」
 年老いたアルフレードは彼にそう言い放つ。
「お前は世界を知らない。街を出ろ。そして二度と帰ってくるな」
 それはあまりにも冷徹な言い草だった。彼はなにも言い返せないまま街を出た。だがそれでも彼はずっとその老人のことを忘れなかった。多くの時間を共に過ごし、多くのことを教えてくれたアルフレード。恩師であり、一番の親友だったアルフレード。

 30年。
 彼はアルフレードの言いつけを守り続けた。アルフレードの訃報を聞き帰郷した街はあの頃とはあまりにも変わっていた。
 彼の愛した映画館は取り壊された。アルフレードはもういない。
 だが変わらないものもある。街の人々の笑顔、映画の素晴らしさ。
 彼はもう気づいていた。あの日のアルフレードの冷徹な言葉がなければ、今の自分は映画館と共に廃れていた、と。
 アルフレードの遺品のフィルムを見れば、いつだって少年だったあの頃に戻れる。いつだってアルフレードに会える。
 映画を愛したかつての少年は、今でもまだ、映画を愛していた】



 単純で王道的なストーリー展開ではあるけれど、ただの単純な映画では決してない。鮮やかではあるが奥深く、人を優しく包んでくれるような映画だった。見終わってからしばらくしても、アルフレードの言葉の多くが頭に残る。しみじみと、いい映画。
 きっと映画ってこういうものなんだろうな。

 確かに人生はうまくいかない。だからこそ、アルフレードの言うように"自分のやることを信じて”頑張って行こう。そして辛くなったらまた、この映画を見よう。

 映画って本当にいいもんだね。


(1989/イタリア・フランス/ジュゼッペ・トルナトーレ監督)

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