
これが実際に起こった事件というのがすごい。あまりにも悲しく、痛ましい映画だ。
マンションの一室に取り残された子供たち。
彼らの孤独にも、寂しさにも、飢えにも、大人たちは誰も気付かない。
彼らと接点を持つ大人はたくさんいるにも関わらず。
契機はいくらでもあったにも関わらず。
直向に生きた彼らだが、結局は愛しい家族を一人失ってしまう。
悪いのは誰か。
それを誰かに絞るのは難しい。そこには様々な人間の様々な事情がある。
だが、'大人'であることは確かだ。
いつの時代も苦しめられ犠牲になるのは弱者。
その弱者が、この物語の中では子供達だった。
カンヌで最年少で主演男優賞を取ったヤギラ君の存在感は確かに特筆すべきものがあった。目に見えてシーンごとに成長していくさまは圧巻だった。だがあれが全てヤギラ君の演技だったか、というとそうでもなく、子供みんなの表情は本当に自然で映画を観ているのを忘れそうになるほど。母親との夕食のシーンは本当にどこかの家庭の食卓そのものに見えた。
それがつまり、是枝監督の力量なのだろう。
ドキュメンタリー風に見えても、実は細部にまで監督のこだわりの演出が施されているのだとか。日に日に散らかっていく部屋や、残り少なくなっていくアポロチョコや、そういった小さな小道具が効果的に効いていた。
是枝監督てのは、ちょっと凄い監督かもしれないぞ、と感じた。
そういう意味で、カンヌでは監督賞をあげてほしかった。
ヤギラ君も14歳であんな賞もらっちゃって、この先が大変そう。この前彼が出てたドラマ見たけど、やっぱり特別演技旨いわけじゃないんだよね。
「ワンダフルライフ」に続き、一層是枝監督のファンになった一本。
頑張れヤギラ君!
(2004年/日本/是枝裕和監督)