たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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【僕は生まれる家を間違えたと思った】
 
 冒頭のその台詞のおもしろさから一気に引き込まれた。
 マイライフ・アズ・ア・ドッグギルバート・グレイプのラッセ・ハルストレム監督作品。成長を描くのが得意な監督ですが、今回の主人公はケビン・スペイシー演じる中年男。


【彼は幼い頃から父親の厳しすぎる教育を受けた。その影響で彼は自分の殻に引きこもりがちな孤独な男に成長する。

 大人になり、彼は愛を知った。彼にとっては本当の愛だった。娘も出来た。
 だが妻は、娘を放って若い男と遊んでばかり。彼はそんな妻を正す勇気すらない。ある日妻は娘を連れて出て行ってしまう。
 愛を失い失望する彼だったが、その元に届いた知らせは彼をさらに深い絶望へと突き落とす。

 妻は娘を売ろうとしていた。そして、交通事故に合い妻は死んだ――

 生き残った娘と共に、彼は父親の故郷へと住まいを変える。
 彼はその地で出会った様々な人との親交により、少しづつ毎日の光りを見つけていく。

「壊れた心もいつかは癒えるのよ」
 叔母はそう言って励ましてくれた。だが彼にはまだ分からなかった。 
「どうやったら、いつか、壊れた心は癒えるの?」

 彼は叔母に問いかける。この心の傷が癒える日が来るなんて思えなかった。
 自分を裏切り死んだ妻。先祖の罪。
 彼は苦しみ、悩む。だが温厚な叔母にだって誰にも言えない秘密があり、その傷を何十年も心に抱えてきたことを知り、彼は気付く。

 過去は変えられない。
 死んだ妻も戻らないし、先祖の罪も消えない。

 これからは前を向いて、未来のために生きよう。
 そうすれば、もしかしたら本当に、壊れた心も癒えるかもしれない】



 希望に満ちたラストでした。
 もうちょっと回りの人物、叔母や、意地悪な編集長や、夫を亡くした彼女の内面の彫り下げをしたらもっと良かったんじゃないかと。それぞれのエピソードが少し薄っぺらい印象を受けました。
 パッケージにあるような、涙が溢れる的なお話ではなかったけれど、ポッと心があったまるような、生きる元気が出る作品。原作はピュリッツァー賞を受賞したベストセラーなんだとか。ケビン・スペイシーをはじめ、演技派俳優がそろっているので安心して見られます。いやはや、駄目男がすっかり板に着きましたね彼は。
 ラッセ監督はもうすっかり熟練の業。大きな起伏なしに一人の男の成長を淡々と見せてくれる。この映画の少し現実離れしているような感覚、温度の低い感じはなんとなく村上春樹っぽいなぁと思いました。
 
 だれでも胸に傷を抱え、過去に苦しみながら生きている。その傷を癒すことは、そう容易いことではない。
 だがそれは自分だけではない。誰もが少しづつ胸になにかを抱えて生きている。底抜けに明るいあの人だって、なにも考えていないようなあの人だって。
 大切なのは、過去と向き合うことなんじゃないだろうか。
 過去に捉われることになんてなんの意味もない。
 生きているものは、未来のために生きるしかないんです。苦しかろうと、傷があろうと。


 個人的には、旦那を殺した彼女のこれからがとっても心配なんだけどね。

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