[まだネタバレないよ]
スペインの内乱が始まった一年を、小学校に入りたての少年モンチョ君の視点から描いた作品。正直、このスペインの内乱については良くわかりません。その辺の事情を知っているほうがより深く感動できるらしいけど。でも俺は事情なんて知らんでも、充分感動したわけであります。
観終わって感じたことは、脚本がうまいということ。いや、うまいと言うのかなんと言うのか。こういう感動のさせ方もあったのか、とね。それにこのタイトル。本編中はこれっぽっちも涙を流す気配もなかったけど、エンドロールをぼんやりと眺めながらホロリと、っていう感じ(でも別にエンドロールに仕掛けがあるわけじゃないよ)。じんわりと響いてくるし、じんわりと染みてくる。そしてじんわりと悲しく、切なくなってくる。そんなじんわり系映画でした。
思い出せば思い出すほど、胸が痛くなりますな。
【彼は病弱で怖がりで、学校に行くのも嫌だった。だがそんな彼を優しく迎えに来てくれた先生がいた。
彼はすぐに先生のことが好きになった。
先生は色々なことを教えてくれた。ある鳥は繁殖期になるとメスに蘭の花を贈ること。蝶にはゼンマイのように巻かれた細い舌があること。
だが、そんな時に歴史は動き、世界は変わろうとしていた。
先生との別れの日、さよならの仕方も分からない少年は、勇気を絞って叫んだ―――】 ************
[こっからネタバレあります] 観終わってしばらく考え込んで、確かに感動もしたし、悲しくもなったし、でも一番思ったのは、この映画の構成の仕方は今までになかったんじゃないかと。
中盤はなんかまったりしてて退屈だったし、画は綺麗だったけど、それほど意味がある内容とは思えないシーンも続いて心配になった。でもまあ最後の最後のたった一言で、ガクンと感情を揺さぶられた。
うーん。新鮮。
ただやっぱり、お話の内容としては救いのない悲劇なんだそうな。このスペインの内戦で始まった独裁体制はその後40年間続く。つまりモンチョと、反体制派(共産主義者)として連行された先生とが再び出会うことは二度となく、この映画のラストシーンが二人の生涯の別れなのである。
そのラストシーン。モンチョが「アテオ!アカ!」と叫ぶところ。こんな幼い子供が、自分の身を守る為に本心ではないことを口にするというのがまずなんとも悲しい。それも尊敬した先生に向かって。その時の先生の表情がなんとも言えずまたもの悲しい。それでいいんだよ、と言うみたいに。
で、最後の台詞。
「蝶の舌!」
この瞬間に、モンチョ君の中のやりきれない思いや、悲しみをぐわっと感じた。この一言で充分だった。
「神が地獄を創るんじゃない。人が地獄を創るんだ」
先生はモンチョにそう教えた。
尊敬する先生に向かって罵倒の言葉を口にしなければならない環境、雰囲気。そんな地獄を創ったのは、紛れもない、人間だったんです。