【その男の誘いに応じたのにさして理由はない……
と、彼女は思う。
その女に出会って確かに救われた……
と、彼は思う。
自分と同じ癖を持つその女に。
妻の秘密にはずっと以前から気付いていた。
だがそれを決して口にしないこと、封印することがやさしさだ……
と、夫は考えた。
夫との結婚生活はなにがなんでも守り抜く。
だってそれは当たり前のことだから……
と、妻は固く信じていた。】 これは公式サイトのあらすじからの引用。あらすじを読んでも、予告編を見ても、とってもセンスが良くて良作マイナー映画の香りがぷんぷんします。ぷんぷんと。
監督はこれが初メガホンの亀井亨。熊切和嘉監督作品の助監督をやってた人らしい。なるほど、マニアックつながりですな。
ストーリー的には、それぞれの夫と妻がいる男女が不倫をしてしまうお話。ちょっとした心の暗がりを共有した二人が段々と繋がって行く過程は(リアリティーはあまりなかったけど)まあ良かったと思う。
後半は二人の夫と妻が出てきて、四人の男女としてそれぞれが少しづつ絡み合う。四人個別の視点として物語が進む。好きなんだよね、そういう展開。
妻の秘密を知っていた夫、夫の浮気を知ってしまった妻、死ねない二人。苛立ち、嫉妬、孤独、辛抱、焦燥、別離。
そして再会。
誰しも抱えている心の暗がりに焦点を当て、そこから派生した、誰にでも起こりうる愛の形。
編集も音楽も撮影もすごいセンスがいい。というか俺好み。でも、いまいちグッと来るものがなかった。
それは多分説得力がなかったんだと思う。言わんとすることは分かるけど、共感もするんだけど、どうにも親身には感じない。
うーん。
どうせなら後半のような視点の変化を、もっと前半から見せても良かったと思う。もっとぐちゃぐちゃっと編集して。抑え気味の
21グラムみたいに。いや、難しいか。
大好物っぽい雰囲気があっただけに、ちと残念。
ちなみに見てきた映画館、渋谷のシネ・ラ・セット。なんかロビーにバーカウンターがあって、なのに劇場内はめちゃ狭で、しかも前のほうの席はテーブル付きの座椅子やらソファーやら。不思議な感じで気に入りました。こういうマイナー映画を見るにはうってつけだよね。また行きたいー。
(2005年/日本/亀井亨監督)