【君に手紙を書こう。混迷するこの世界に希望を見つけながら――】 そんなナレーションで始まるこの映画。世界的写真家ブルース・ウェーバーが監督で、犬のトゥルーへ綴った手紙を読み進めるという形で映画は流れる。
彼はニューヨークにある自宅に多くの犬を飼っていた。だが撮影で家を留守にしていたときに、滞在先で貿易センタービルが崩壊するニュースを目にした。
彼は不安だった。自宅に残してきた犬たちは無事だろうか、と。
一緒に海で泳いだこと。象と一緒になって遊んだこと。泥まみれになったこと。それらはもう、二度とはやってこない瞬間なのかもしれない。
そう彼は思った。
なにも当たり前と思うことはなしにしよう……。
そんな彼が平和を祈って作った映画。中盤犬はあまり登場せず、彼の友人であったり、役者であったり、音楽であったり、そんな白黒映像が断続的に挿し込まれる。それらが映し出すのは「かつてのアメリカ」
グラウンドゼロで泣き崩れる人、出兵した息子を心配する両親。それらが映し出すのは、紛れもなく「現在のアメリカ」
なにかを声高に主張するのでなく、もっとそれぞれの内側に訴えかける力は、さすがアーティスト。色んな映像やエピソードで、見る人にしっかりと語りかける。
彼が探したもの、世界の人々に考えてもらいたいものは、希望。
こんな世の中だって、ちゃんと希望はあるんだ。
そんな気分にさせていただきました。
見終わったあとにはしっかりと、心になにかが残りました。
そして、犬が文句なくかわいい。
だってプールにぶしゃーって潜るし、海で波に煽られてぶくぶくぶくってなるし、鼻に蝶はとまるし、象の上で昼寝するし。
いーなー犬。
でもあんまり知らない映像が続くもんでちょいと眠くもなったんだけど。
一番左がトゥルー君。首から下げているプレートには「DOG OF PEACE」

(2004年/アメリカ/ブルース・ウェーバー監督)