
約半年ぶりに映画館に行った。いや、映画館どころが映画を見たこと自体半年ぶりだ。
今作っている雑誌では映画紹介のページを担当しているというのに、なんたることか。
ということで、忙しさに負けず昔のように映画館に足しげく通いたいと思う'08年一発目。
興行収入初登場2位など、ドキュメンタリーとしては異例のヒットとなっている今作。
「主演:地球 46億歳」
っていうキャッチが秀逸。
ドキュメンタリ人気の上昇、エコ意識の浸透。日本におけるこれらの状況をうまく活用しヒット作に導いたギャガの力量はすごいということをまず感じた。さすがギャガ。
と、いうのも。
内容はと言えば、期待していたほどの感動も驚きもなかった。
いや、感動もするし、驚きもする。
だが今はNHKでも似たようなネイチャードキュメンタリーは観ることが出来る時代である。
さらにこの映画の本家となるBBCだって、日本でも少しの月額を払えば日夜を問わずに観ることができてしまうし、「ディープ・ブルー」から始まった(と思われる)この手のネイチャードキュメンタリブームにより、類似した映画は数多い現状がある。
というかそもそも、この映画はBBCとNHKの合同出資で製作され、両社で放映済みの「プラネットアース」がもととなっている。
となれば、もはや壮大な再放送的感覚に陥ってしまうのも無理はない。
しかも劇場用にわざわざ90分まで切り詰めているのだから、内容的スケールダウンは免れない。
地球の全てを90分で見せようなんて恐れ多いじゃなか。
この手の映像の希少価値自体が少しづつ下がってきているからかもしれないが、本当に未知の世界であった"深海"いうテーマに絞り込んだ前作「ディープ・ブルー」に比べてしまうと、やはりパンチの効いた画が少なかったように思う。
しかし矛盾しているようだが、これは間違いなく今観なくてはならない映画だ。
例えば前述した"深海"であったり、"北極"をテーマとして絞り込んだ「北極のナヌー」のように、ある程度の範囲を絞ればこの映画以上に驚きに満ちた映像を詰め込んだ映画は作れるだろう。
だが"地球"という、生命を扱うにあたっての最大の範囲を捉えた映画として、この映画を超えるものはそう易々とは作れそうにない。
この映画の成功により似たようなドキュメンタリは今後も乱出するだろうし、この映画の製作元であるBBC+NHK(という今考えられうる限りでは最大の出資力を持つタッグ)も、続編的位置づけになる映画を製作するだろう。
それでも技術的問題や、製作期間の長大さ、莫大な費用の捻出など、この手の映画には超えなければならないハードルが一般の映画に比べて気が遠くなるほどに多い。
そして劇中でも取り上げられ、この映画のテーマとなっている環境問題が重くのしかかる。
数年後に撮影技術の革新的進歩があったとしても、ネイチャードキュメンタリーに1兆円出資するという企業が現れたとしても、今現在の地球の姿はどこにもない。
毎日とんでもない量の森林が砂漠と化し、北極の氷はなくなっていく。
つまり、今現在の地球の姿を捉えた最初で最後の最高傑作、それがこの「アース」であり、それを劇場のスクリーンで鑑賞できるという幸運を僕らは授かっているのだ。
これを観てなにを感じるか、はたまたなにも感じないか、それは観客個人の判断だ。
だが近い将来、全知全能の超ハイテクビデオカメラが誕生したとしても、肝心のホッキョクグマやアフリカゾウやザトウクジラが絶滅してしまっていたら、何の意味もないしそれほど哀しいことはない。僕はそう思った。
このジャンルにおける紛れもない最高傑作であり、今観ることに最大の意義がある映画。
これほどまでに分かりやすい映画は他にない。
* * * * *
余談だが、この映画は子供が500円で観れるキャンペーンをやっている(これもすごいぞギャガ)。
故に、劇場内は必然的に子供率が高い。
即ち、うるさい。
こんなこと言う大人は我ながら嫌いだけれども、映画はやっぱり静かに観たいなぁと。
いや、子供にこそ観てほしい映画だし、「クマさぁ〜ん!」なんてはしゃいでる子供はこの上なくカワイイのだけれど、ねぇ。
ついでに、今日は本当は「人のセックスを笑うな」を鑑賞予定でしたが、明日の夕方の回まで満席でした。なんかなんていうかすごいなぁ、最近。
(2007年/ドイツ・イギリス)