たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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遠くの空に消えた (試写)

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 今後の邦画界を担う旗手のひとりである行定勲監督が7年の構想を経て完成した今作。「ロックンロール・ミシン」などのような小規模ながら丁寧な人間ドラマと、「春の雪」のような大々的な娯楽作をうまく撮りわける監督だという印象を僕は持っている。

 そんな幅が広い監督が手がけた児童映画。ギャガが担当しているだけあって宣伝もうまいしフライヤーも興味がそそられるものだった。


 冒頭から独特の空期間で画面が一杯になっていた。どうしたらあんな雰囲気が作れるのだろうかと不思議に思う。これといった要員はみつけられないのに、ノスタルジーに満ち、これから始まるのはファンタジーなんだ、ということを感覚で感じさせるようなオープニングだったように思う。

 子役の芝居は文句なくうまいし、物語全体を通して独特のノスタルジーは絶えず、自分の子供の頃を思い出さずにはいられなかった。
 子供の持つ純粋さや、愛らしさ、大人たちの身勝手さ、そういった児童向け映画にありがちな要素を満遍なく取り入れた、まさに「児童映画」な中盤であった。

 僕は別に児童映画が好きではないし、ファンタジーはどちらかというと苦手なほうだ。なのでずっと、行定勲が見せる「ファンタジーに絡めたマジメな人間ドラマ」を期待していた。期待してしまっていた。

 結果、140分の長丁場を終えたころにはクタクタになり、期待したドラマは見れずじまい。睡眠時間を削って観たことへの後悔が多くを占めた。


 子供が奇跡を起こす。
 その発想やこの映画の物語などは、すれてしまった現代の子供たちにも充分に伝わるであろう作りだったと思う。
 だがこれは本当に「大人のためのファンタジー」であったかと考えると、強く首を捻りたくなる心境だった。

 
 だがこの作品を試写で観て1ヶ月近くが経った今、またよーく考えてみれば、もしかしたらこれはほんとうに「大人のためのファンタジー」で大正解だったのかもしれない、とも思う。

 物語は少年達の現在進行形の物語ではない。
 あくまで、成年が子供の頃の話を回想している、という形で進められていた(と思う。確か)。
 と考えれば、劇中に何度もある突飛な演出だって納得が行くのかもしれない。


 けれども。
 それにしたって、随所に説得力が弱い部分が目立つし、主人公の少年の描き方もステレオタイプだし、それぞれのエピソードがあまりにも独立してしまっていて全然効果的だと思えなかったし。など。
 なにより、回想に至るきっかけの「足跡」のくだりが、あまりにもお粗末じゃないか。と思ってしまった。
 だってあんな足跡残るだろうか。普通。
 せめて回想に至る前の「現実」であるあのシーンくらいは、もう少し説得力ある設定にしてほしかったなぁ。


 恐らく、初めからファンタジーだと割り切って観れたり、余計な期待をせずに観れば体にも心にも栄養満点な素敵なファンタジーだったんだろう。
 好みではなかったけど、きっとこういう映画がたまらなく好きな大人も、きっと世の中にはとてもたくさんいるんだと思う。


(2007年/日本/行定勲監督)

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