
アホで下らなすぎて失笑連続の映画でも、ここまで突き抜けると鑑賞後には「なんて大人な暇つぶしをしたんだろう」と妙に爽やかな気分になるから不思議だ。
「イン・ザ・プール」や「時効警察」での独特のテンポと空気感が多くのファンを生んだ三木聡だが、この新作に出演している役者陣の顔ぶれをみれば、そのファンというのはなにも観客や視聴者だけではないのだということが窺える。
田中哲司やつぐみやマメ山田や園子温などがクレジット最下部付近に並び、しかも思い返しても「どこに出てたんだ?」と首を傾げたくなるほどの扱い。なんとなく、監督の人徳のようなものが透けて見えるようなキャスティングだと感じた。
松尾スズキのキャラ作りは文句のつけどころなく完璧だし、少し昔まで全然好きじゃなかった伊勢谷友介のはじけっぷりまでもが心地いい。これも映画が持つテンポと空気のお陰だろう。
コメディーの作り手には「ウケなかったどうしよう」なんていう不安が付物だろうが、「ウケなくったって知るもんか!!」と肩の力を抜いて開き直っているような余裕すら感じる。
それでいて本当に笑えて(それだからこそ笑えるのかもしれないけれど)、実は結構マトモなことをしっとりと主張させているあたり、この監督ってきっとすごい実力者なんだろう。
そしてこの映画が世間で注目されるとしたら、それはきっと"世界の大女優"となった菊池凛子が出演していることだろう。
本格派女優としての名前だけがひとり歩きすることを恐れたのか、それとも前作がシリアスな役柄だったから今度ははっちゃけようくらいに思って選んだのかは分らないが、どちらにしても、世間のイメージをぶち壊すにも自身の芝居の幅を見せつけるにも充分な役柄だったと思う。
どうせ映画を観るならいいものが観たいけれど、年間何千本と公開される映画の中から、本当に自分の心が震える映画を探すのは至難の業だ。
だったら開き直って、「くだらねぇなぁー」なんて失笑しながら100分くらいを過ごすのも、たまにはいいかもしれない。
(2007年/日本/三木聡監督)