2003.11.30 Sun
ブラウン・バニー (シネマライズ)

【 愛 に さ す ら う 】
そのコピーがあまりにもぴたりと嵌っている映画。
カンヌでは賛否両論真二つの大論争になったらしい。それもよく分かる。確かにそこまでを描写する必要があるのか、というシーンであったし、その話題性だけの映画じゃないか、という声もある。
ただ僕は、まず単純に美しい映像の数々に目を見張った。途中眠くもなった、というか、恐らく寝た。いや、半分近く寝た。
だがこれは、観終わってもずっと心に残る作品であることは間違いない。勿論インパクトだけを言っているのではなく、ここまで心が痛む映画を未だ僕は知らない。
ギャロの語り口はあくまでも一方的で、親切心とはかけ離れていて、我侭で、最後まで彼の独壇場だ。共感してほしい、なんて言う彼の思惑を感じることは出来ず、最後までただ彼の「寂しいんだ!!」という声を無理矢理聞かされたような気がする。
だがやっぱり、彼だって誰かに共感してほしいのだ。
一方的な映画であるが故、真実の衝撃は増し、悲しみの波は鋭利さを増して突き刺さる。
僕が本格的に映画を好きになるきっかけになった作品であり、(好みの問題が大いにあるだろうけど個人的には)切ない映画ナンバーワンとしての地位が揺ぎ無い作品でもある。
【自らのたった一つの過ちで愛する人を失った絶望感。
なににも癒されることは無く、むしろそれらを拒否し、自らの孤独に向き合う男。
例え過去と向き合い、悩んでも悔やんでも、心が癒されるわけではない。
あまりにも苦しくて、誰も自分の気持ちなんか理解できないと嘆いた。
周りの人間に冷たく当たって傷つけた。
それでも苦しみは消えない。
毎日悔やんで、君との思い出に耽る。
僕を癒せるのは君だけなのに。
どうしてこんなことになったの。
あんなに愛していたのに】
そんな彼の心の叫びがはっきりと聞こえた気がした。
そして、勃起したよ。ちなみにサントラのジャケットもこんなんだしね。

(2003年/アメリカ/ヴィンセント・ギャロ監督)
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