たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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マッチポイント (銀座シネスイッチ)

[少しネタバレあります]

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 運が人生を決める。

 そんなの分かってる。ただそれだけのことを二時間かけて説明されたようで、これはいささか短絡的な感想に過ぎるのかもしれないが、僕はこの映画にどんな感想を抱けばよいのか分からなかった。

 映画としてはテンポも良く、展開もスリリングで飽きることはなかった。冒頭なんて素晴らしい掴みだったと思う。台詞は便宜的な会話程度に留め、その奥で繰り広げられるそれぞれの思惑を描こうとしているのかもしれないとも思った。
 だが、物語が主人公に都合よく転がりすぎではないだろうか。
 もちろんそれがこの映画のポイントである。だが、僕は途中から腹立たしくなって来てしまった。

 まだ実力がありながらプロテニスプレイヤーを引退し、偶然出会った富豪の娘と結婚し、飽き足らず義兄の婚約者と寝てしまう。
 共感はするし、理解できる行動だ。彼は男としての欲望に素直に生きているだけだ。
 だけど、あまりの都合の良さに腹が立つ。もしかしたら主人公と同じ男だからかもしれない。ちょっとずるいんじゃないのそれは、という風に。
 女の人はどう観たのだろう。「なにこの自分勝手な男〜」と、同じように腹を立ててしまった人が多かったのではないかと想像するのだけれど。

 彼は映画の中で全ての勝負に勝つ。決して負けない。
 冒頭のナレーションを引用するなら、「ツイているから、ネットの上で弾んだボールがことごとく相手のコートに落ちる」のである。
 そして最後までそれが続く。

 彼は運が良かった。

 表面上はただそれだけの映画だ。深読みすることはいくらでもできるけれど、僕が最初に抱いた感想はそれだけだ。

 では少し深読みしてみる。
 確かに彼はツイていた。決して負けなかった。
 だが、結果彼は本当に幸福になっただろうか?
 そうではないかもしれない。
 無関係に死んでいったものに対して「戦争でも関係のない人達がたくさん巻き添えになる」と開き直れてしまう彼は、自分の人生の成功を「運がよかったからだ」と認められていないのだ。
 幸運に恵まれてここに辿り着いたと認めることは、今後も不安定な運に左右されながら生きていくことを肯定することになる。運に恵まれすぎた彼は、不確実な要素の上になりたった幸福への不安と、罪の意識に苛まれながら生きるのだろう。 

 確かに彼はツイていた。人生における成功を手にした。
 だが、彼が成功したのは運のおかげだけではない。
 彼女の両親に気にいられるためにドストエフスキーを勉強し、興味のないオペラについても学んだのだろう。さまざまな積み重ねで、彼は両親に取り入ったのだ。
 そしてその対極にいるのがノラだ。
 ノラと主人公は似た境遇として描かれながら、結末は雲泥の差だ。そもそもは、ノラの失墜は両親に気に入られなかったことから始まる。それは運が悪かったからではない。
 こう考えてみると、もしかしたら監督は「運が重要なんだ」と表立っておいて「実は運よりも重要なものがある」というメタファーを汲んでいると考えることも、出来なくはない。


 どうロジカルに考えてみたところで、僕はこの映画があまり好きではなかったし、人生において運を掴むことが重要なのは変わりがない。人生なんてどんなに努力をしても偶然ひとつで如何様にも転んでしまうなんてことは、二時間かけて説明してくれなくてもちゃんと分かっているつもりだ。
 
 手前に落ちた指輪のプロットなど、単純で大衆的な物語を嫌う監督らしい回収の仕方だった。確かに多くの人の予想を裏切る結末だったかもしれない。だがもちろん、予想を裏切る結末を用意すればいいというわけでもない。
 決してつまらない映画ではなかったし、錯綜する人間模様はなかなかおもしろかった。にやりと笑えるシーンもあった。
 だけど、納得いかない。
 印象に残ったのはスカーレット・ヨハンソンの綺麗すぎるボディーラインだけだ。

 この作品は「ウディ・アレン史上最高傑作」と謳われ、ゴールデングローブで四部門、オスカーも脚本賞でノミネートされている。
 もしかしたらウディ・アレンて僕の肌に合わないのかも。


(2005年/イギリス・アメリカ・ルクセンブルグ/ウディ・アレン監督)

| 映画 ☆☆ | 23:05 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

はじめまして。
確かにクリスがすべてをうまく運べたのは運が良かったからだけじゃないですよね。
掴んだ運をものに出来た、からですよね。
ノラの最後も運が悪かったからだけじゃなく、自らが招いた部分もあったように思います。
女性目線から見ても普通"クリス、むかつく!!"なんでしょうが、私の場合ノラのあほさの方が気になりました・・・
TBさせて頂きました。。。

| なぎさ | 2006/09/03 00:43 | URL |















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