2006.06.30 Fri
アレックス (DVD)

悪名高き映画「アレックス」
「カルネ」「カノン」の連作が共にカンヌで好評を得たギャスパー・ノエ監督。期待の新作と当時は結構話題になっていた。トレーラーをだけを観ると、まるで清々しい恋愛、もしくは悲恋の映画のような印象を与える。
ところが。
これはもう有名な映画で、どんな内容なのかは大抵の人が知っていると思うが、実際見てみると、やっぱり凄い。凄い映画。破壊力で言うとこの映画の右に出るものはないかもしれない。
例えば、予備知識を余り持たずに、なんとなく話題だしトレーラー観ても恋愛映画っぽいし、とかいう理由で若いカップルが観ると、完全に「失敗だった!」と思わせられるであろう映画に、ミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」がある。
同じような系統の映画ではある。しかし、「アレックス」はその数十倍酷い。もしも若いカップルや家族で観てしまったら、もう……。
監督がなにを表現したかったのかは、ラストを観れば分かる。
「時はすべてを破壊する」
そしてそれを表現するために、出し惜しみなく、やりきった。僕はそう感じたし、方法や内容云々ではなく、その監督の意気込み(なのかどうかはわからないけど)はひしひしと感じた。ここまで徹底して観客を不快にさせようとする心意気に清々しささえ覚えた。
ただ、映画としてみるにあたってはこんなに酷い映画は思い当たらない。だって本当にひたすらに不快だから。不快と言うと表現的に柔らかくなってしまうけれど、要は、物凄く気持ち悪い。これでもかこれでもか、と。そのやり方が下品で下劣で、「映像的」な不快さという単純な方法であるが故にさらにタチが悪く胸糞が悪くなる。同じ不快な映画でも「ファニー・ゲーム」とは全く意味が違う。
ラストで幸福な妊婦として彼女を捉えるのも、ぐるぐる回転するカメラもそう。
リアルな描写はもちろんだけど、個人的にはあのぐるぐるカメラが本当にしんどかった。パソコンの液晶で見ていて気持ち悪くなるんだから、映画館のスクリーンで観ていたらどうなっていたことか。恐ろしい映画だ。
そしてもちろん観終わったあとにも何が残るわけでもない。
満足そうな監督の顔がぼんやりと想像できる。
こういう映画があってもいいんじゃない? とは思うけれど、決して人には薦めないし、商業ベースに乗ったこと自体に驚き。
(2002年/フランス/ギャスパー・ノエ監督)
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