たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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害虫 (DVD)

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【父親はいなくなった。
 母親は自殺未遂をした。
 小学校の頃の先生と付き合っている。
 学校には行かない。
 それから?

 友達の好きな子は私のことが好きだった。
 だからキスをした。
 母親の恋人に乱暴をされた。
 母親は泣くだけでなにも言ってくれなかった。
 周りのみんなが好きなものは噂話。
 私が好きなものはなんだろう】

 
 人物や背景に関する説明をせず、台詞も少なく、展開も単調に過ぎているかもしれない。意味のわからないシーンが多く、退屈する時間もあった。
 が、ものすごく好き。素質がある映画、というか、ひょっとすると稀に見る傑作だったかもしれないという気もする。気に食わない点は多々あったけれど、それに目をつぶれば、恐らく、青春映画の枠で言えば個人的には「16歳の合衆国」に匹敵するほど壺だった作品。

 ちなみに気に食わなかった点を先に挙げると、タカオ役の男の子とラストで出てきた伊勢谷友介の芝居が嫌い。あとは、やはりストーリーがわかりづらい。燃えてた家が夏子の家だったなんて、見終わってから知りました。

 しかし、それらを補って余りある、宮崎あおい。これは本当にお芝居をしているのか、というほどにナチュラル(でも喋ると少し崩れてたかも)。宮崎だけでなく、蒼井優(随分若いんでクレジット見るまで気付かなかったけど)も、りょうも、素敵。中盤のりょうが泣き崩れるシーンはぞっとするほど上手かったと思う。それから宮崎が教室で机をひっぱるシーンは、今まで見た映画の中でベスト並に惹き付けられたシーンだった。すごく短いシーンだし、全然そんな雰囲気ではないのに、何故かふいに泣きそうになった。タイミングといい表情といい、僕の中ではばっちりでした。

「小学校5・6年を境に、いきなり性の対象として見られる。それに対する身のこなし方なんてまだ全然分かっていないときに、ある日突如、性的な脅威が迫ってくる。女の子が感じていたそんな怖さは脚本を読んで初めて知ったし、そういったものを前半部分で描きたかった」(広告批評 02年6月号)

 この映画の脚本は20代の映画学校の女学生が書いたもので、それを塩田明彦監督が映画化した。塩田監督作では、たまたま深夜のテレビで見た「月光の囁き」がとても印象的、というか衝撃的で思い出に残っていて、「黄泉がえり」が同じ監督だと聞いて当時すごく驚きました。

 
 サチ子は、不幸な少女だ。それは紛れもない事実だ。
 そして13歳の少女が堕ち行くには一つの理由があれば容易く、世界はそれに対してあまりに無関心だ。
 堕ちることは容易いが、それを止めることは困難。
 彼女は自分の意とは無関係に周りを巻き込み、どこまでも堕ちて行く。
 だが、それは本当に止めることの出来ない落下だったろうか、と考える。
 迎えに来る友達を断り続けたのも、その友達の意中の人と付き合ったのも、先生との再会をあえて諦めたのも、結局は彼女の選択だ。彼女が堕ちることを選んでいるのだ。

 すでに不幸を浴びている現状で、一度底を覗いてみようと思ったのか、それとも天邪鬼な性格がそうさせるのか、それとも、無意識のうちにそう選択しているのか。

 いずれにしても、胸がちくちくと痛む。口の中に苦い味が蘇る。

 静かな雰囲気から一遍、ナンバーガールの激しい音楽をバックに物語がスピードアップする終盤の展開も、切れがありかっこよかった。

 最後に疑問に残るのが、このタイトル。それは周りの世界から見た自分が害虫なのか、それとも彼女から見た他人が害虫なのか。
 わからないけれど、すごいタイトルをつけたものだ。恐らくこのタイトルのせいで、この映画を観ようと思う人の半分は失っているであろうに。誰が「害虫」で中学生の青春映画だと想像できるか。
 ネーミングセンスが良すぎて理解できないのか、センスが悪すぎて逆に斬新でかっこよく感じるだけなのか。はて。

 前半のぼんやり感で退屈しちゃったのが残念。

 ああちなみに、10人見たら7人は「ツマンネ」って言うであろう作品なので、御注意。

【あらゆる悪徳こそが人間存在の本質であり、善とはただかろうじて悪ではない状態であるに過ぎないのだと考えるのならば、

 およそこの世で最も真実らしくないものを―――】
 (本編より)


 この続きが気になる。


(2002年/日本/塩田明彦監督)

| 映画 ☆☆☆☆ | 04:38 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

僕も最近これ観ました。

星4つはあげられる作品だと思う。

タイトルの「害虫」はたいように激しく同意!!

最近は蒼井優の作品をやたらと観る。

DVDの特典で塩田監督が「蒼井優は日本一の切ない顔のできる女優」と絶賛していたけど実にその通り。

個人的には「花とアリス」や「亀は意外と速く泳ぐ」のような役が好きだけども。

それから主演の宮崎あおいの演技力は言わずもがな。

「害虫」のときって中学生とかだよね。

恐れ入ります。

Number Girlの「I Don't Know」

しびれるわ〜。

| くらしまの勇士 | 2006/05/29 14:05 | URL |















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