「それでも人生は続くんだ」 この言葉がいつまでも頭に響く。
それはショーン・ペンの演技力が凄まじいからか、それとも映画が優れているからか。
紛れもなく演出や編集での監督の力が大きく反映している映画だった。前作
「アモーレス・ぺロス」で一気にブレイクしたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は、今じゃハリウッドでトップクラスの人気だとか。だからこんな凄いキャストが集まったのでしょう。
主演三人の素晴らしい演技は改めて言うまでもなく圧巻。ペンはもちろんのこと、今回はベネチオ・デル・トロが光っていた。迫力ある芝居であまりにも重い咎を背負ってしまったものをリアルに演じていた。それにしてもこれだけ存在感のある役者さんなのに、未だに主演作がないというのが驚き。
映画のテーマや、雰囲気とかは完璧に好きなのに、あそこまで時間軸をばらばらにする理由はよくわからなかった。だがあれがあったからこそ、食い入るようにスクリーンに惹きこまれたのかもしれないとも思う。
ただただ、物凄い吸引力を持つ映画だった。
ナオミの家族を殺してしまったベネチオの台詞に、驚くほど共感できてしまった。
「地獄ってのはどこにあるか知ってるか?
ここ(頭を指して)だよ。ここが本当の地獄だ」 そうなんだろうね。自分の頭の中こそが本当の地獄。彼のような状態になったことは勿論ないけれど、分かる、そういう気持ちはすごく。
フライヤーや公式サイトもとても凝ったデザインで、そんなところもこの映画が好きな理由の一つかもしれない。公式サイトとトレーラーを見ただけでちょっとお腹いっぱいになれる。それくらいクオリティーが高かった。
(いつまであるか分からないけど、公式サイトです。
http://www.gaga.ne.jp/21grams/)
命を授かった者も、亡くした者も、奪った者も、それぞれに生き様があり、乗り越えるべき壁があり、どんなに悩んでもたどり着けないものがる。
だが誰一人として、自分の人生から逃れることは出来ない。
たとえ自ら命を絶ったとしても、それもまた自分の人生であり、そうしない限り、いつまででも人生は続く。
結局のところ、誰しもが向き合うしかない。
亡くしたことで悲しみにくれた21gと。
奪ってしまった21gと。
では人が死ぬと軽くなるという21gはなんの重さなのか。
劇中でそれについて触れられることは一切なかったが、例えばそれが人間の魂の重さだとしたら、それは重いか、それとも軽いか。
21g。それはチョコバー一本の重さ。ハチドリ一羽の重さ。
それをどう捉えるかは自分次第。
その21gを無闇に捨てるのも、奪うのも、同じ21gを持った人間の手によってなのだから。
(2003年/アメリカ/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)