たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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隠された記憶 ネタバレ感想

[ネタバレをしますよ編]



 
 さて、ネタバレ感想です。
 僕は(恐らく誰もがそうであったように)鑑賞中ずっと犯人を捜すことに夢中になっていたのですが、鑑賞後に感じたことは、そもそも犯人なんていなんじゃないか、ということ。空想、幻想、なんて言うのではなく、そもそも犯人はこいつ、と設定がなされていないのではと感じたのです。


○振り返ってみれば、家を撮り続けているカメラの位置はどうにも不自然。坂道であることを考慮しても、画面中央下に車が映っていることを考えればカメラはそれなりに高い位置から撮られているはずで、このアングルから密かに撮影できるとは考えにくい。
 しかも夫婦はそのカメラを探そうともしない。

○序盤でフラッシュバックする幼い黒人(?)の姿。この時は少年の存在も何故血を吐いているのかも謎ですが、のちにこれがマジッドであると分かる。しかし「マジッドが病気で血を吐いた」というのはジョルジュの嘘だったわけで、血を吐いたマジッドの姿はジョルジュの妄想であると言える。
 では何故、このフラッシュバックが家を撮影しているビデオに挿入されていたのか?
 それはそのビデオも「血を吐いたマジッド」と同じように妄想、あるいは夢であるという示唆を含んでいたのではないか。

○また、マジッドが自殺したシーンは、前回にジョルジュがマジッドを訪ねた際に撮られたビデオと同じアングルでのシーンである。
 なのに、このシーンがビデオとして送られてくることは(少なくとも映画の中では)なかった。
 このことから、マジッドはジョルジュにより殺され、幼い頃の嘘を忘れていたのと同じように、マジッドは自殺したとジョルジュが勝手に思い込んだ、それがあの映像となった、とも考えられる。

 まぁでも、問題のラストカットでは全然違うヒントが出されていたわけですけどね。

 ラストカットについては、一体どれだけの人が気付いたのかどうか。自分でも「よくあんなもの気付いたもんだ」って思ったし。本当に偶然目に入ったんですよ。
 ピエロとマジットの息子が親しげに話していた(以前からの知り合い?)だったということは、この映画にとってどんな意味を持つか。

〇ピエロが母に嫌悪を抱いている描写があったことなどから、マジッド家とピエロが共犯だったというのが妥当だろうが、ピエロが父を嫌悪していた描写はない(と思う)。だから過去にジョルジュがついた嘘についてピエロは知らないと思われる。
 それにマジッドの息子が関わっていたとすると、マジッドの自殺に説明がつかなくなる。
 自殺してまでジョルジュを断罪したかったのか? しかしマジッドの態度からは決してそこまで切羽詰った印象もジョルジュを憎んでいる様子も感じられない。
 そもそもマジッドが自殺する動機も、ジョルジュと会った後泣いている理由も、全く見えてこない。

〇序盤においてリビングで友人らと夕食を摂っているシーンがある。会話の途中でにノックの音がし、ジョルジュが玄関を出てみると誰もいない。外に出て門を開けて叫び、家の中に戻るとドアが閉まらず、ビデオが挟まっていることに気がつく。
 このシーンで不可解に思ったことがあった。
 ビデオはいつドアの下、それもドアを閉めると挟まる位置に置かれたのか? 元々玄関外の足元に置かれていたならドアに挟まることはないし、外に出て門まで歩く前に気がつきそうなものだ。
 そこで僕は、あの時リビングにいた誰かが犯人なのでは? と想像したのだが、今思うとリビングにいた人間だけではなく、(息子を含めた)あの時家の中にいた人物が犯人、という伏線だったのかもしれない。 

 しかしどんな仮定で想像しても、どうにもひとつの現実の話としては繋がらないような気がしてなりません。

 なので、犯人探しは諦めます。

 犯人や犯行の動機が分からない以上、監督の伝えたいことやこの映画の良し悪しの言えないのですが、帰り道に電車の中で必死に映画のおさらいをしたのは、相当に久しぶりのことでした。それだけで一見の価値のある映画だと思うし、観た人をそんな状況にすることが監督の狙いのようにも思います。
 幼き頃の些細な悪戯である男の一生を変えてしまったジョルジュの罪、その罪を反省していないこと、人種差別…。
 監督がしたかった問題提起がなんなのかさえよく分かりませんが、久々に映画で頭を使ったので、まぁ、それで良かったのかな。

「隠された記憶」とはジョルジュが幼い頃に母親についた嘘であり、このような悪戯の経験は(程度の差はあれど)、観客全員に思い当たる節があるだろう。そしてそれについて、罪の意識を持っているものはいるだろうか?
 そう考えると、なんともぞっとする映画だ。


 なんにせよ、特殊な映画でしたね。
 長い感想になってしまってすいませんでした。 

| 映画 ☆☆☆ | 23:10 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

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| | 2006/04/30 11:19 | |

>隣の評論家さん
自分もトラバは張れませんでしたねぇ。
そしてコメントが管理人のみ表示可になってる
のはわざとでよいですか?
初めてだったんでどうやって見ればいいのか
悩んでしまいました。

津川さんが来てたのは初日最後の回です。

| たいよう | 2006/04/30 12:40 | URL |

あ、間違えた...

たいようさん、再びコメントありがとうございました。
「管理者のみ表示可」には間違えて操作してしまいました。特に内緒のコメントでもないですよね、失礼いたしました。
TBはお互いに貼れないようですね。とても残念ですが、またヨロシクお願い致します。
「隠された記憶」は、観た人のブログを覗く度に、また行きたい衝動に駆られますね。リピーターが増えそうですね。

| 隣の評論家 | 2006/04/30 17:15 | URL |

初めましてmovievaderといいます。
TBさせていただきました。

> しかも夫婦はそのカメラを探そうともしない。
そうそう、この部分が非常に謎でした。

> なので、犯人探しは諦めます。
そうなんですよね、結局情報が少なくてわからないから犯人探しを諦めるしかないんですよね。

>帰り道に電車の中で必死に映画のおさらいをしたのは、相当に久しぶりのことでした。それだけで一見の価値のある映画だと思うし、観た人をそんな状況にすることが監督の狙いのようにも思います。

私も映画を見た後にこんなに考えたのは初めての体験でした。
もう一度見てみたら別の角度から映画を見れるかもしれません。
って監督の思惑にはまってますねw

| movievader | 2006/04/30 20:32 | URL |

とっても参考になります

はじめまして、こんばんわ。
自分も映画見てきたのですが、どう考えてよいものか、とっ散らかってしまってよくわからなかったので
ネタバレで検索して、こちらに寄せてもらいました 笑。
とっても参考になります、ありがとうございます。

この事件に息子が関係しているのか!?というのは、確かに驚きなのですが、1時間も泣いていたというマジッドみると、彼を憎むというよりは、深い諦め哀しみの現れだったのかと思いました。
何十年ぶりに現れたジョルジュが、「あの時はすまなかった。」と言っていれば、結末は変わっていたのかもしれません。

それが、昔と同じで自分をどん底に突き落とすような、言動を繰り返す。
警察もジョルジュの話を一方的に信用して、自分たちの言い分には耳を貸そうとしない。
たぶん、これまでの人生でも、いやというほどそういう経験をしてきたのでしょう。自殺は、無言の抗議だったのかも。

果たして、彼は本当にマジッドだったのだろうか?という気もしてきます。
本物のマジッドに話を聞いた他の誰かで、成功した白人(社会全体に)に復讐しようとしている人、幸せそうな家庭に入り込んで、すこしずつ亀裂をつくっていく(自爆テロ的に)のが目的だとしたら?
と考えたら恐ろしくなってきました 笑

| マリオ | 2006/05/14 02:26 | URL | ≫ EDIT

すごい参考になる感想でした、ラストカットに関しては気づけなかったので助かりました。

| 亀 | 2006/10/07 02:40 | URL |

ラストカットについて

親しげに話していたと書かれていましたが、わたしにはあまり親しげとは見えなかったですよ。むしろ息子に何か秘密を打ち明けているかのように思えました。恵まれすぎて甘ちゃんの息子とアルジェの息子とでは接点が結びつきませんから。
それとこれは、映画「アルジェの戦い」を見た経験がある者とないのとでは感想が違うかもしれません。
ちなみにわたしは高校二年の時に観ました。

| hammett | 2006/12/04 00:04 | URL | ≫ EDIT















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