たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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白夜行 (ドラマ)

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「どうか子どもたちに、本当の罰は心と記憶に下されると伝えて下さい。飲み込んだ罰は魂を蝕み、やがて、その身体さえ、命さえ食い尽くす。どうかその前に、親たちに伝えてください」

 それは悪しき絆だったのだろうか。いや、悪しき絆と呼ばなければいけないのだろう。だが胸が痛む。それはあまりにも深い絆であったから。
 一つの罪により繋がれた二人は、互いをかばうように罪を罪で塗りつぶす。それは彼にとって彼女が、彼女にとって彼が、暗転した世界を照らす唯一の太陽だったから。そして太陽を守るための嘘は新たな嘘を呼び、二人をきつく縛り付ける。
 それでも二人は、積み上げられた偽りの影に身を隠し、静かに抱き合った。

 罪を背負い、日の沈まない白夜の道を行く。しかし本当の太陽の下で二人が出会うことは二度とない。愛し合う者にとって、会うことができないということほど苦痛に満ちた罰が他にあるだろうか。

 殆どテレビを見なくなっていた最近なのに、ふとしたきっかけで見始めてしまった「白夜行」。ドラマとしての出来云々以前に、ストーリーにすっかりと魅了されてしまった。原作は読んでいないけれど、その内容を調べてみるとドラマとはかなり違ったタッチらしく、よくここまで見事な脚本に出来たものだと驚いた。

「殺す知恵があるのに自首する知恵がないわけがない。人を騙す計算が出来るのに人の人生を想像できないわけがない」 
 二人がしてきたことを決して肯定してはならない。多くの人を巻き込み、不幸にし、その人たちの想いを踏み潰し歩いて来たことは紛れもない事実だ。だが彼らもまた、被害者であることも事実だった。
 大切な人を奪われた笹垣は自らの人生をかけて二人を追うが、その影の正体を垣間見た時、涙を堪えることが出来なかった。二人を繋いでいたのは、あまりにも悲しい絆だった。
 しかし笹垣は、それでも追及の手を緩めなかった。二人によって傷つけられた者たちのために、そして彼ら自身のために。

「彼女が落ちた穴は、僕が落ちた穴だったかもしれないんです」 
 篠塚は闇の濃いその穴に手を差し伸べる。だが二人がそれに捕まることはなかった。その手にあるのもこそが本当の救いだと分かっていても、今さら助けを求めることなんてできなかった。そんな救いへの希望は、ずっと昔に置いて来てしまっていた。

「人生を捧げた人間よりも、捧げられた人間のほうがよっぽど辛いのかもしれない」 
 二人は互いに全てを捧げ、その捧げられる辛さを、また相手に捧げることで返し合った。嘘を嘘で隠すように、罪に罪を重ねるように。
 もうそうする他に、相手を愛する方法がなかった。少なくとも、彼らにはもう他の道はなかった。
 二人を追い詰めたのは、そんな重圧だったのかもしれない。


 この物語に魅了されてしまったのは、もう何年もドラマを見ていなかったせいもあるかもしれないけれど、物語にそれだけの魅力があったのも確かだと思う。これ以上言葉を挟みこむ余地のない物語、そんな感じだった。
 そしてこのドラマの重厚さを演出したのは脚本はもちろんのこと、役者陣の好演も外すことができない要因だった。特に山田孝之と武田鉄也。14年に及ぶ物語を表情と佇まいで見事に演じていた。
 

 確かに間違いだらけだったけれど、お互いの太陽であり続ける為に、愛すべき人を守るために、二人は必死だったのだ。だからこそ悲しい。
 そして残された雪穂は、太陽を失い幸せになることなどできるわけもないのに、それでも生きなければならない。残るのは暗闇を歩く罰の時間のみだ。
 
 悲しみに満ちている。
 破綻が訪れることも分かっている。
 それでも目を離すことができない。
 愛し合っていた二人の、悲しすぎる運命を僕は観た。
  
「白夜ってさ、奪われた夜なのかな、与えられた昼なのかな。
 夜を昼だと見せかける太陽は、悪意なのか、善意なのか。そんなことを考えた。
 いずれにしろ、俺はもう嫌気がさしていたんだ。
 昼とも夜ともつかない、この世界を歩き続けることに。
 終りにしよう、何もかも。
 あなたの為に、俺の為に」

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