
15歳の頃自分は、なにを考え、なにが見えていただろう。
ウィリアムは15歳で家を離れ、全米を旅することになる。退廃し始めたロックンロールと、中堅バンドと、ペニー・レインと共に。
意に反して振り回されてばかりの彼だったが、その幼くてうぶな表情は徐々にたくましくなり、目には次第に落ち着きが備わってくる。それは童貞を失ったからか、恋をしたからか、周りの大人に喚起されたからか。
人は多くのものに触れ、感じることで成長していく。これはウィリアムだけでなく、ペニーや、ラッセルや、ウィリアムの母、それぞれの成長の物語だ。
1970年後半が舞台の映画だが、もちろん僕は当時の魅力あるロックンロールを知らない。でも、そこにある家族の風景や人付き合いのなんたるかは、今となんら変わらない。
あまりの厳しい教育に家を飛び出した娘を見送る母が言う、「帰ってくるわよ、いつかね」という言葉も、数年後帰ってきた時に母と抱き合いながらも「謝らないわよ」と言う娘の言葉も、冷たい台詞とは裏腹の暖かみに溢れていた。
2000年のオスカー脚本賞を受賞しているが、物語は終始アメリカ的で分かりやすく、大きな面白味はないかもしれない。でもこの映画を見て、自分の中の「あの頃」を思い出さずにはいられなかった。それは多分、観た人の多くがそうだったと思う。自分の中の「あの頃」と、ウィリアムの苦悩が重なり、なんだか温かい気持ちになった。アメリカ人ならきっとなおさらだろうし、それを評価されての受賞だったのだろう。
そしてなにより、出演者がいい。ペニー役のケイト・ハドソンはもちろんだけど、ウィリアム役のパトリック君がすこぶる気に入った。映画初主演らしく素人っぽさが残っていて、多くを語らずにいい眼をしていた。
ほんわかといい気持ちになれる、素敵な映画でした。
(2000年/アメリカ/キャメロン・クロウ監督)