たいようの映画の感想

映画を観て感動しても、少し時間が経てば結構忘れてしまうんです。そんな忘れんぼうな自分のための記録なんです。

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アイデン&ティティ (DVD)

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「やりたいことをやる」困難さと
 いつの時代も変わらない青春の姿

 
 ロックと青春の苦悩をユーモアを交え、時に恥ずかしいほどストレートな言葉で語る青春映画だが、みうらじゅん原作、工藤官九郎脚本、田口トモトヲ監督、峯田和伸主演…と聞いて、関心が涌かない人は観る必要の無い作品で、観ても一切楽しめないことは間違いない。

 しかしどこかで取っ掛かりのある人にとっては、この映画はとんでもないほどツボにはまる娯楽大作であり、青春のレクイエムであり、最高の代弁者となってくれるだろう。ロックをこよなく愛する人、GOINGSTEADYを毎日聞いていた人、みうらじゅんの熱狂的ファン…。そんな人々にとって、これほど力強く背中を押してくれる映画はかつてなかったのではないだろうか。

 80年代の『イカ天』ブームからそのブームの終焉までを舞台とし、ロックとバンドを中心にストーリーは語られるが、これは紛れもなく中島というひとりの青年の成長譚であり、その姿は音楽経験の有無に関わらず、多くの人が自分に置き換えてみることができるだろう。「理想と現実」というありきたりな狭間でもがく姿なんて今時珍しくもなんともないが、音楽を通してストレートに描かれるそれは不思議なほどキラキラと眩しい輝きを見せ、臭いセリフもまっすぐに胸に届いてくる。
 
 そしてこの映画において最も重要なポイントが、主役の中島を峯田和伸が演じたことなのは言うまでもない。監督の田口トモロヲは1年間かけて中島を演じる役者を探したが適した人が見つからず、ある日峯田という青年の存在を知り、中島役に抜擢することを即決したのだそうだ。峯田自身も中学の頃から何度も読み返すほど原作のファンであり、ちょうど自身のバンドを解散して手持ち無沙汰な時期だったことも重なった。そして峯田の周囲には演技派の麻生久美子や大森南朋などを配置し、しっかりと脇を固めたことも田口監督の配役の妙だったように思う。

 田口監督は撮影後、演技経験がなかった峯田について「中学生の頃から役作りができていたんだよ」と絶賛したそうだが、そもそも中島を演じるにあたり、峯田に役作りなんて必要だったのだろうか?

 今の音楽界で最も「ロック」な男はこの峯田和伸だと個人的に確信している。メジャーデビューしても長い間童貞で有り続け(本人がそれを望んでいたわけではないようだが)、バンドのメンバーとフェラチオをし合い(それくらい出来なければバンドメンバーとは言えないらしい)、ライブでは骨折しても流血しても歌い続け、観客とツバの掛け合いをし、裸で叫び続ける。普段はもの静かで内向的に見えるが、音楽にかける情熱と覚悟とステージでの突き抜けたパフォーマンスは直視するのが痛いほどに熱い。
 もし「ロック」という言葉が音楽のいちジャンルを定義するだけの言葉ではなく、歌い手の生き様や心情も含むものだとしたら、間違いなく峯田はロックンローラー以外の何者でもない。つまり、主人公の中島は峯田そのものであり、峯田は中島そのものなのだ。だからこそ映画の中にある中島の叫びや、悲しみや、葛藤には嘘がない。全ては峯田の叫びであり、峯田の悲しみであり、葛藤なのだ。

「ロックとは何か」とは、ずっと昔から論じられて来たことだが、その答えのひとつを映画を通して掲示してくれる作品だ。
 僕たちは年齢に関係なくいつだって未熟で、格好悪くて、女の子には滅法弱い。悩んで泣いて愚痴って足踏みばかりの毎日が続くこともあるかもしれない。そんな時に、この映画を見返そう。きっと、勇気を与えてくれるだろう。

『やらなきゃいけないことをやるだけさ。だからうまく行くんだよ』


(2003年/日本/田口トモロヲ監督)

| 映画 ☆☆☆ | 05:26 | comments:10 | trackbacks:1 | TOP↑

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『告白』(チャットモンチー)

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「本当に心に届く音楽は女の子にしか出来ない」
――前を向き続ける彼女たちの告白


 1stアルバム『耳鳴り』では、鋭く緊迫感ある音で女心と苦悩を歌い、ガールズバンドの概念を軽々と飛び越えた。
 2ndアルバム『生命力』では、ポップでキュートで親しみやすいのに骨太なロックを体現し、日本中で熱狂的なファンを生んだ。
 田舎のバンド少女だった彼女たちがデビューからたった3年で日本武道館の単独公演へと辿り着き、その「奇跡」から丸1年を経て発売されるニューアルバムで、これまでの道筋が結集し、一つの区切りを迎える。発売前からそんなサクセスストーリーが完成しているような気がした。

 しかし実際にこのニューアルバムを聞いて、そんな想像は簡単に覆されてしまった。
『CAT WALK』や『8cmのピンヒール』のようなキャッチーな曲の親しみやすさやパワフルさはそのままに、遊び心溢れる『長い目で見て』、キッチンで鼻歌を歌うかのような『LOVE is SOUP』など独創的で挑戦的な楽曲が並ぶ。
 中でも、歌詞の洗練には驚かされた。「女子の本音」、ひいては「ヒトの本音」をとても研ぎ澄まされた鋭利な言葉で表現しているのに、その言葉はどこまでもウソがなく、まっすぐで、だからこそ暖かい。

《ねぇ 私のこと 全部わかるって言ったけど あなたなにも見えてなかった》(『8cmのピンヒール』)
《あぁ 今日もこの手で必死に なにか掴もうとしているよ あぁ今日もこの胸は 息を吸っては吐き出して
 10分後も10年後も 同じように生きているだろうか》
(『CAT WALK』)
《私がいなくなったとしても 3分おきに電車は揺れて きれいにきれいに花は咲き 戦いはやむことなく》(『CAT WALK』)
《明日ダメでも あさってダメダメでも 私を許して それがやさしさ》(『やさしさ』)

『耳鳴り』の一曲目は、上京に際しての戸惑いを歌った『東京ハチミツオーケストラ』だった。
『生命力』の一曲目は、東京の生活に慣れて気付いた家族の温かみを歌った『親知らず』だった。
 そして今回の一曲目は、全てを理解し合うことは出来ないと分かりつつも、それでも相手を求め続ける恋心を歌った『8cmのピンヒール』。
 この変化を見れば、チャットモンチーの4年間の成長はすぐに確認することが出来る(数年前に悲壮感たっぷりの声で『恋愛スピリッツ』を叫んでいた少女の面影はどこにもない)。そしてこの3曲がすべてポジティブな楽曲であり、今回のアルバムの収録曲も(ディープな言葉や鋭い表現を用いてはいても)結局のところ、全てがポジティブな歌であるというところに、チャットモンチーが多くを人に支持を得ている理由が垣間見える。

 CDジャーナルのWEBにアップされている、ハマケン(SAKEROCK)との対談(→告白(?)対談 チャットモンチー×浜野謙太(SAKEROCK))でハマケンはこんなコメントを残している。

「“本当に心に届く音楽って女の子にしかできないのかな”って思っちゃって」

 この発言がとても印象深く、胸に残る。まさにその通りなのかもしれない。素直にそう思えてしまうほどに、このアルバムはポップでキュートなのにどこまでもロックンロールで、聴き手の気持ちを掴んで離さない。

 これは彼女たちの今までを振り返り懺悔するような、後ろ向きな「告白」ではない。ましてや、思いを寄せる人に自分の気持ちを伝えるだけの自分勝手な「告白」でもない。これからを見据え、周囲に自分たちをさらけ出して理解してもらい、さらに大きくなるための「告白」。挑戦的で、そっと秘密を打ち明けるようにささやかで、そしてどこまでもポジティブな「チャットモンチーの素直な心情の吐露」だ。

 このアルバムは、現時点でのチャットモンチーの最高傑作であることは間違いない。
 だけれど近い将来、このアルバムを上回る作品を、彼女たちは再び僕らに聞かせてくれるだろう。



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 【音楽】『染まるよ』/チャットモンチー


★3月4日(水曜日)より発売!!★
告白告白
(2009/03/04)
チャットモンチー

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| 音楽について | 04:17 | comments:1 | trackbacks:1 | TOP↑

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近況09年

 こんな台詞を言うことがどんなに遅すぎるかということを重々承知の上で、それでも言わせて頂きます。あけましておめでとうございます。
更新がすっかり滞り、何故か映画よりも本や音楽のレビューをアップすることのほうが多くなってしまった08年でしたが、今年はガンガン頑張るつもり(あくまでも予定)でいます。雑誌編集を初めて丸2年がたち、配給さんや宣伝の人たちから山ほど送ってもらっている映画の試写状も9割9分ゴミ箱行きという勿体なすぎる現状をそろそろ打破しようと計画中です。多分春〜夏には時間に余裕ができて、また多少はゆったりとした毎日を送れるんじゃないかと予想しています。
 時々このブログを通しても試写のお誘いを頂くことがあり、今までは一度も行けませんでしたが、今後は多少行ける機会も多くなると思います。僕のこんなブログが宣伝活動に役立つのであればいくらでも感想は書きますんで、ご連絡頂ければ時間と相談します。

 ということで、今年も頑張ります。


| その他 | 07:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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